放課後クラブ(ハレ系)トクヨク
榊ノ下さえ
25歳 T165 B85(E) W58 H90
験
談

体育はドッジボールだった。
聞いた瞬間
嫌な予感しかしなかった。
球技は苦手だ。
私はなるべく目立たないように
コートの端に立った。
存在感を消して
空気になるつもりだった。
笛が鳴る。試合開始。
私が弱そうに見えるのだろうか。
すぐにボールが飛んでくる。
私は反射的に体を傾ける。
紙一枚分だけ横にずれる。
当たらない。
次のボールが飛んでくる。今度は少し屈む。
当たらない。
また飛んでくる。
半歩だけ後ろへ。当たらない。
気づけば私はほとんど同じ場所に立ったまま、必要最低限の動きだけで避け続けていた。
周りがざわつき始める。
私は聞こえないふりをして、また避ける。
気がつくと、味方チームはいなくなっていた。相手チームもいつの間にか全滅していた。
コートの中央に、私だけが立っている。
誰も近づいてこない。
ボールも飛んでこない。
ただ、遠くから見られている。
榊ノ下さえ、3日目。
投げてもいない。
当ててもいない。
能力も使っていない。
私はまだ何者でもない。
榊ノ下さえ。
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