放課後クラブ(ハレ系)トクヨク
榊ノ下さえ
25歳 T165 B85(E) W58 H90
験
談

五時間目の終わりかけ。
教室の空気が
もう帰りたい側に寄っている。
私の前の席の人が椅子を少し後ろに引いて、私の後ろの席の人に話しかける。
「今日そのままスタバ行く?」
「行く行く。新作飲みたい」
私は会話の間で
ノートの端を定規でなぞっている。
まっすぐ引けた。
「雨降りそうじゃない?」
「ワンチャン降るね」
私はシャーペンを置いて
消しゴムでさっきの線を消す。
きれいに消えた。
先生が何か言っている。
前と後ろの二人は一瞬だけ静かになって
また小声になる。
「てか宿題さ」
「終わってない」
私は黒板を見る。
もう何も書いていない。
チャイムが鳴り、一斉に椅子の音がする。
前の席の人は振り返りながら話を続けて
後ろの席の人は笑いながら立ち上がる。
私は少し遅れて鞄を持つ。
廊下に出ると前と後ろの二人は
もう次の話題に移っている。
私はその後ろを少し離れて歩く。
榊ノ下さえ、7日目。
前と後ろは会話でできていて
私はその隙間で静かに立っていただけだった。
榊ノ下さえ。
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