放課後クラブ(ハレ系)トクヨク
榊ノ下さえ
25歳 T165 B85(E) W58 H90
験
談

榊ノ下さえ、16日目。
教室に入った瞬間
違和感があった。
音がしない。
いつもなら椅子を引く音とか、鞄を置く音とか、誰かのため息とかがあるのに今日はそれがなかった。
代わりに床に並んでいる背中が見えた。
全員、正座していた。
机も椅子もない教室の床に整列するみたいに。
私の席の場所もちゃんと空いている。
流れでそこに正座で座る。
もう慣れているので、特に問題はない。
前を見ると、先生が黒板の前に立っていた。
何も言わずにチョークを持っている。
そして、ゆっくり書いた。
「正座」
それだけを大きく。
一文字ずつ丁寧に。
それを書き終えると先生は満足そうにうなずいて、こちらを向いた。
「では始めます」
何を始めるのかは分からないが
授業が始まった。
内容はよく覚えていない。
誰もノートを取っていない。
机がないから。
でも誰も困っていない。
ただ、正座している。
時々、誰かの足がしびれた気配だけが伝わってくる。私は正座マスターなので余裕だった。
昼休みも、全員正座のままだった。
移動する人も正座のまま少しずつずれていく。
廊下に出る人も正座で進んでいく。
たぶん、そういう日だった。
放課後になっても黒板には「正座」と書かれたままだった。消されなかった。消す必要もない気がした。
榊ノ下さえ、16日目。
今日は、学校中が床だった。
というところで目が覚めた。
自分の部屋だった。天井があって布団があって、ちゃんと現実の匂いがする。
夢だった。
そう思った瞬間に時計を見る。遅刻確定。昨日焼いたパンを抱えて玄関を飛び出す。
制服のボタンを留めながら走る。
夢はほどけて、腕の中にはパンだけが残っていた。
榊ノ下さえ
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