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放課後クラブ(ハレ系)トクヨク

榊ノ下さえ

榊ノ下さえ

25歳 T165 B85(E) W58 H90

体
験
談
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榊ノ下さえ
9月30日12時03分
by 榊ノ下さえ
部活作るってよ(1)

昼休みの教室は、弁当の匂いと笑い声で満ちている。誰かが机を引く音、椅子が床をこする音、遠くで誰かが名前を呼ぶ声。それらが全部混ざってひとつの大きなざわめきになっている。

その中で、私はひとりページをめくっている。

紙の感触。
指に少しだけ引っかかる、あの質感。

『ムー』
世界の謎と不思議を扱う月刊誌。

古代文明、超能力、宇宙人、未確認生物。
証明されていないことばかりが並んでいるのに、不思議と嘘っぽくはない。

むしろまだ名前のついていない「何か」に触れている感じがする。


今読んでいるのは、東北で目撃されたユーマの特集だった。

夜の山の中。黒くて細長い影。
人のようにも見えるし、違うようにも見える。

熊ではないらしい。
人でもないらしい。

じゃあ、なに。

ページをめくる。


ぼやけた写真。不鮮明な輪郭。
こういう曖昧なものほど、気になる。

はやく続きを。


「榊ノ下さん!」

声が飛んできた。

顔を上げるとラグビー部だった。
まただ、と思う。転校してきてすぐから何度も声をかけられている。

「見てるからね!毎日パンくわえて走ってるでしょ!」


朝、時間がなくてただ走っているだけなのに。


「ラグビーやろうよ!」


パンとラグビーの関係もよく分からない。


私はまたページに目を落とす。

「え、聞いてる?」

聞いている。ちゃんと聞こえている。
でもユーマの方が気になる。


「…考えときます」

口だけで答える。本当は考える気もない。

私はページをめくる。

黒い影。説明文。
目撃者の証言。

どれも決定的ではない。

だからいい。


「今日も練習あるからさ!待ってるね!」

私は何も言わない。

「…また来るからね!」

ラグビー部は去っていった。


少しだけ静かになる。
私はまたページをめくる。

それにしても、しつこい。
どうしたらいいんだろう。

なんでそんなに部活に入れたがるのか。



そうか、私がどこにも属していないからか。



ページをめくる手を止めて少しだけ考える。


もし、どこかに属していたら。
もう声はかけられないんじゃないか。

勧誘される理由がなくなる。


…ん、それじゃあ。

入る必要はない。
作ればいい。



私は雑誌を閉じる。

ユーマの正体はまだ分からない。
でも、やることは分かった。


部活を、作ればいい。


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