放課後クラブ(ハレ系)トクヨク
榊ノ下さえ
25歳 T165 B85(E) W58 H90
験
談

職員室の前で私は少しだけ立ち止まっていた。
うーん、と小さく息をつく。
三人。
頭の中でその数字が何度も繰り返される。
一人はいる。私。
でも、あと二人。
思っていたより遠い。
廊下は静かで、遠くで足音だけが混ざっている。窓の外はもう暗くなり始めていて、昼間とは違う時間の流れになっていた。
どうやって集めればいいのか。
考えても、すぐに答えは出ない。
そのときだった。
まただ、と思う。
私の円の中にスッと入り込んでくる感覚がある。振り返るまでもない。
同じクラスの男子。名前は確か、山田。
かなりの念能力の使い手だ。
振り返ると、やっぱり少し離れた位置に立っていて、こちらを見ている。視線が合うと少しだけ逸らす。でも離れない。
朝もいる。登校中、後ろに。
待ち伏せされていたこともある。
放課後もいる。帰ろうとすると少し距離を保ったままついてくる。
ずっと私のことを見ている。
……ということは。
部活に入っていない。
私は少し考える。
条件は満たしている。
ゆっくりと山田の方へ歩く。
距離が縮まるにつれて、山田の肩がわずかに緊張していくのが分かった。
「山田君」
名前を呼ぶと、びくっとした。
「え?」
少し遅れて、反応が返ってくる。
「部活、入ってますか?」
「え?あ?え?」
混乱している。
「入ってないですね」
そう言うと、山田は少し間を置いてから、
「……はい」
と頷いた。
やっぱり。
私はそのまま続ける。
「一緒に部活をやりませんか?」
山田の動きが完全に止まる。
「え?あ?え?あ?え?あ?え?」
思考が追いついていないのが分かる。
少しの間のあと、
「………はい」
と、小さく答えた。
承諾。私は手を差し出す。
山田も少し遅れて手を出し恐る恐るそれに触れる。
握手。
その瞬間、空気がわずかに変わる。
見えない何かが確かに結ばれた感覚がある。
これは、約束。
言葉を交わしただけでは終わらない、逃げられない形のもの。互いに、それを守るための念。
約束を共有する念能力。
その名は??
「ヨロシクオネガイシマス」
手を離しても山田はまだ少し固まっている。
でももう決まっている。
まだ何も決まっていない部。
現在、部員数2人。
そうだ、と思う。
新しい部員ができた以上そのまま帰らせるわけにはいかない。私は山田の方を見る。
「山田君、もう遅いので送りますよ。一緒に帰りましょう」
山田は少しだけ固まってから、
「え?」
とだけ返した。
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